医療機関の情報連携を当たり前にするために踏み出した第一歩の“薬局間連携”
2019年9月に開始したMusubiの同一法人内薬局間データ連携。Musubiを通じて連携した同じ法人内の薬局において、同一の患者さんの薬歴や処方情報を薬剤師が確認しながら服薬指導できるようになりました。
このプロジェクトに関わったメンバーに、広報の高橋が開発の裏側をインタビューしました。
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ユーザーの要望と社内の声を受けて始動した開発プロジェクト
ーーこのプロジェクトはいつから始まったのですか?
井出:構想自体は2017年、本格的にプロジェクトとして始動したのは2018年に入ってからです。私はプロジェクトの初期から関わっており、プランニングや画面仕様・モックアップを制作するといったデザインの部分を担当しました。
Musubiのサービス企画を担当する井出。今回のプロジェクトでは、全体プランニングからデザインまで担当
ーープロジェクトが始まったきっかけは?
井出:ユーザーからの要望と社内からの声、両方でした。
山﨑:私自身、薬剤師としての勤務経験から、連携のメリットを理解していましたし、Musubiで情報連携したらどうなるかという青写真が頭の中にあったので、KAKEHASHI入社後の早いタイミングから薬局間連携の実装を社内で推薦していました。
ーーこの機能は、薬局にどんなメリットがあるのでしょうか?
山﨑:来局された患者さんに対して、過去に系列店で調剤を行っていた場合、その情報を確認できるようになることです。患者さんの情報が連続していると、薬剤師は監査の見落としを予防しやすくなります。また、患者さんとの自然な会話を組み立てやすくなりますし、同じ患者さんの情報を薬局ごとに入力する工数を削減できます。
もちろん、患者さんからしても、同一法人の運営店舗であればどの薬局にいっても経緯を把握した薬剤師に安心して相談をすることができるメリットがあります。個人的には、この先に”地域の医療機関同士の情報連携”の可能性を感じていて、非常に夢のある一手だと考えています。
調剤薬局で薬剤師としての勤務経験があり、KAKEHASHIではファーマシストパートナーとしてMusubiの導入支援を担当する山﨑。今回のプロジェクトでは、機能面の企画を担当
数々の困難を乗り越えてついに機能リリース
ーー開発で苦労した点は何ですか?
井出:「具体的に何を実現するのか?」「患者さんへ価値提供をするにはどうしたら良いのか?」など悩む点が多かったので、関わっているメンバーで何度も議論したうえで開発をスタートしました。スタートするまでに時間はかかりましたが、「議論を尽くして結論を出し、自分の責任において先に進もう」ということを意識して進めていきました。
今回の開発ですが、Musubiのコアの部分にも手を入れる必要がある、非常に工数のかかるものだったので、結果的にKAKEHASHIの中でも期間の長いプロジェクトになりました。
横田:私はシステム部分の設計と実際のプログラミング、実装部分を担当しましたが、一番難しかったのは、既存のデータを置き換えなければならなかったところです。すでに動いているMusubiのサービスを止めることなくデータの置き換えを行うーーそのためには、夜間で迅速に置き換えを実行したり、大きな修正を行うために修正点を分割して徐々に進めたり、という工夫をしました。
”ある患者さんとある患者さんが、同一の患者さんである”と判定する設計の部分でも苦労しました。その解決につながる糸口を、社内情報共有の場で開発以外のメンバーからもらったことがありました。現場やユーザーの声などを開発段階で知ることができたのは、本当にありがたかったです。
ーー今回担当した領域は、ご自身にとって新しい取り組みだったのですか?
横田:はい、自分にとっては前職での経験というより、新しい経験の方が多かったです。
テックリードの方をはじめ、経験豊富な方々に細かく相談し、アドバイスをもらいながらこうして進めることができました。
Musubiのサービス開発を担当する横田。今回のプロジェクトではシステム設計とプログラミング、実装を担当
医療機関間情報連携の第一歩
ーーすでに連携を開始した薬局からの反応はいかがですか?
山﨑:試験導入した薬局さんからのフィードバックは、ほとんどがポジティブなものです。ドミナント展開している薬局には、特に喜ばれる機能だと思います。この機能がきっかけでMusubiの導入薬局が増え、情報連携が進むことで患者さんが”より良い医療体験”を受けられる環境が構築されていけばいいですね。
井出:患者さんを取り巻く環境において、医療機関同士の情報連携が必ずしも十分になされていない現状があります。そんななかにあって、今回の薬局間データ連携は、医療機関同士が情報連携するための第一歩だと考えています。Musubiを利用するユーザー薬局の、情報連携のさきがけになれればと。
患者さんの住んでいるエリア内の医療機関が情報連携することにより、患者さんの健康サポートを行うーー国は地域医療連携を推進していますが、その文脈でもこの機能の可能性はあるのではと考えています。
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いかがでしたでしょうか?
長期間にわたるプロジェクトとなった薬局間データ連携。話を聞けば聞くほど、さまざまなハードルを乗り越えてリリースに至ったことが、開発経験のない高橋にも想像できるプロジェクトでした。「この困難なプロジェクトを最後までやりきったメンバーを賞賛してください」と、自身が表に出ないことを選択した複数のプロジェクトメンバーにも敬意を表して、広報によるインタビュー記事を終えることにします。
今回のように、KAKEHASHIには社会的に影響力のあるプロジェクトに関わる機会があります。そんな環境にご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!
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