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真のフィードバックカルチャーを目指した、カケハシ経営チームの試行錯誤

カケハシの中川です。

カケハシには「無知の知」というバリューがあり、他者から学んで成長できる能力をとても大事にしています。そして、その考えに基づき、定期的に全社をあげた「ピアフィードバック」の取り組みを行っています。

しかし、ピアフィードバックのサイクルを回せば回すほど、思うのです。フィードバックって難しい! カケハシメンバーはやさしい人が多いためか、相手のことを思った厳しいフィードバックを遠慮してしまうケースが多いようです。一方で、相手の尊厳を損ねるようなフィードバックがなされることも全くないとは言えません。フィードバックには、送る側にも受け取る側にもある種のスキルや心構えが必要なんだと痛いほど感じています。

カケハシ全体のフィードバック力を高めていくためには何が必要なのか? 健全なフィードバックをカケハシのカルチャーとして根づかせていくには何をすべきか? まずはリーダーシップを担い1on1などでメンバーにフィードバックする機会も多い経営陣から変化していくべきだと考え、昨年末からリーダーシップアセスメントの取り組みをスタートしました。

“愛をもって支えあう経営チーム”を目指して

そもそもカケハシの経営メンバーには、「非連続な成長にコミットすること」「歩くバリューたること」この2つの要求に応える存在であってほしいと約束しています。事業や組織のフェーズが瞬く間に変化していくなかで、まず経営陣が誰よりも変化し、成長しつづける存在でなくてはなりません。経営において事業や組織がいつの間にか自分よりも大きくなることは決して珍しいことではなく、そのことに気づくことができないと、いわゆる“裸の王様”状態になってしまいます。

一方で、経営メンバーにはそれぞれ多様なバックグラウンドに基づく成功体験があり、それぞれの立場もあって、成長のきっかけになる指摘やフィードバックを得る機会というのはどうしても少なくなってしまいがちです。

だからこそ、他者から学び成長する機会を“意図的に”つくることが必要だと思うのです。そしてこれをイベントではなく習慣として継続していくことで、相手のことを思ったフィードバックができ、そのフィードバックをリスペクトをもって受け取ることのできる、いわば“愛をもって支えあう経営チーム”へと近づいていくことが、今回の取り組みの目的でもありました。

フィードバックは「ギフト」である

今回のフィードバックプログラムでは、経営メンバーひとりにつき、他の経営メンバー+管掌部門のメンバー+ナナメの関係にあるメンバーを6〜10人ずつ選び、経営トップとしての立ち振る舞いやコンピテンシーに関する実態調査的なアンケートと、定性的なフィードバックコメントを求める形式をとりました。

実施にあたって特に重視したのは、事前にすべての回答者に対して「フィードバックに対する考え方」を共有することです。一言でいうと、

フィードバックは相手に対する“ギフト”である。

ということ。
フィードバックはあくまで相手の変化や成長を思って行うものであり、相手に対する信頼と敬意のうえに成り立つものだということを、かなりの時間をかけて説明しました。その甲斐あって、寄せられたフィードバックの多くが、経営陣が自分自身のふるまいを振り返るうえでとても有益なものになりました。

一部ご紹介すると、たとえば「意思決定」に関する私へのフィードバック。自身が管掌しているチームのメンバーからは「思い切った意思決定をしている」という声が多く寄せられたのに対し、経営チームの印象は真逆で、むしろ「思い切りが足りない」というフィードバックが多く見られました。

実際こうした差分がうまれることは珍しくありません。フィードバックの出し手が見ている景色や情報、背景によって、フィードバックの内容は正反対にもなり得るんです。そしてそれは、決してどちらが正しい・正しくないということではない。この理解があるかどうかが、一つひとつのフィードバックを消化し成長につなげていく上で、とても重要なファクターだと感じます。

ワークショップを通じて生まれた、背中を預ける“安心感”

さらに、このフィードバックプログラムを踏まえたワークショップも実施しました。経営メンバー全員が集まり、お互いに対する印象を「BIG」のフレームワークに沿って、その場でフィードバックしあうというものです。

B:Behavior(こういうことをしていましたね)
I:Impact(自分にはこのように感じられました)
G:Go Forward(次はこのようにするともっと良いと思います)

一人ずつ前にたち、他のメンバーがB・I・Gに沿ったフィードバックを口頭で発表していくという、なかなかハードなセッションだったのですが、これも本当に有意義な体験でした。一つひとつのコメントはもちろんなのですが、それ以上に、面と向かってフィードバックするという行為そのものに大きな意味があったと感じています。

もしかしたらこれまで、相手を思うあまり必要以上に遠慮してしまっていたのかもしれません。相手に対する信頼があるのなら、むしろ言うべきことはきちんと言葉にすることが大切。経営メンバー同士お互いにそうあることが真の信頼関係につながるのであって、そのベースがあってこそ、一緒に困難を乗り越えられる経営チームになれるのだと思っています。

物事に対する認知の“クセ”を自覚し、乗り越えることが、成長につながる

すこし横道にそれますが、組織成長のために「まずCEO自身が誰よりも変化し、成長しつづけることが必要」「自分の行動が変わることで、組織にどんな変化を及ぼすことができるのか」と考え、ここ1年ほどコーチングを受けています。

コーチングのセッションでは、「なぜ自分はそう考えたのか?」「なぜそうふるまうのか?」と、自分に対して徹底的に問いを投げつづけます。そして自分のなかにある考え方のクセや認知フレームに気づき、それを乗り越えることで自己成長を繰り返していくという、いわば思考のトレーニングです。

スタートアップ経営には、想像を超えるイベントや困難がつきものです。「なぜこうなったのか」と強いストレスを感じることもないとは言えませんが、とはいえ、物事は究極、自分の捉え方次第。自分自身に対するセルフコーチングによって視点と視座を変えることで、目の前の事象を前向きな原動力にどう変えていくか——そのような思考の仕方が、徐々にですができるようになってきた気がしています。そして、このプロセスこそまさに、カケハシのバリュー「無知の知」そのものなんじゃないかな、と。

嬉しいことに、何名かのメンバーから「中川が変わった気がする」というフィードバックもあり、まだまだではありますが、確実に変化の手応えを感じているところです。

健全なフィードバックサイクルを、カケハシのカルチャーに

とはいえ、これを1回きりの“イベント”にしてしまっては意味がありません。目的はあくまで、健全なフィードバックが組織のカルチャーとして深く根づき、”習慣”として日常の風景になること。こうした組織開発のミッションを担うチームとして、新たに「全社組織開発室」を立ち上げました。今回のリーダーシップアセスメントやワークショップを皮切りに、率先して組織開発の取り組みを進めていきたいと考えています。

例えば、今回のような経営チームを対象にしたリーダーシップアセスメントの取り組みは、半年に一度くらいのペースで継続していきます。また、それに伴うワークショップ等も習慣化していきたい。もちろん、カケハシ全体としてフィードバックのスキルを高めていくための取り組みも検討していきます。

「ギフト」としてのフィードバックがより日常的に飛び交い、それが組織や個人の成長のきっかけになっている状態を目指して。まずは誰よりも自分自身が実践者であろうと思っています!

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