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古典に学ぶ、カケハシバリューの本質とは?〜SRE・乙二雷和〜|月イチ!カケハシさん

こんにちは、カケハシ公式note編集部の鈴木です。

カケハシでは日頃から社内Podcast「カケハシラジオ」を公開しています。社内のさまざまなできごとやトピックスをお送りしていますが、メインコンテンツの一つとして配信を行っているのが、一人のメンバーをゲストに迎えてお送りする「月イチ!カケハシさん」。カケハシとの出会いや仕事を進めるうえで大切にしているスタンスなど、メンバーの人柄を紐解くための企画です。

これまでは社内だけで公開していたカケハシラジオですが、せっかくなので「月イチ!カケハシさん」をnoteでもおすそわけする運びとなりました。ラジオパーソナリティは、ブランディングチームの上田恭平さんと鈴木啓祐さん。それでは、今月もカケハシラジオの世界を覗き見していきましょう!


上田恭平(以下、上田):カケハシのみなさん、こんにちは。カケハシラジオのお時間がやってまいりました。上田です、よろしくお願いします。

鈴木啓祐(以下、啓祐):鈴木啓祐です。

上田:最近のカケハシラジオは、全体会議でのリレースピーチのアフタートークのような形でお送りしております。今回は、2023年12月度のリレースピーチを担当いただいた、乙二さんをゲストにお迎えしてお送りしたいなと思います。乙二さん、よろしくお願いします!

乙二雷和(以下、乙二):よろしくお願いします。

上田:乙二さんのリレースピーチでは、6つのバリューそれぞれの解釈について、ビジネス書であったり古い中国の名著や書籍を基にしながら、それぞれの解釈というものを話してくださいまして、非常にためになりました。

一方で、この幅広い書籍というか、引用されている本のほうも気になっているんですよ。乙二さんといえば、読書家の印象が非常に強いかなと感じているので、今回は「読書術」をテーマにお喋りしていこうかなと思います。

実は、収録前事前にご自宅の本棚の写真も見せていただいているのですが、技術書から人文系、料理本まで非常に幅広い蔵書の数々をお持ちですよね。そういった、読書遍歴というか本についてざっくばらんにお話を伺っていけたらと思っております。よろしくお願いします。

乙二:はい。よろしくお願いします。


歳を重ねていくうちに古典が好きになってきた

上田:乙二さんって読書家の印象が非常に強いのですが、割と濫読的にいろいろな本を読んでいらっしゃる感じなのでしょうか。最近は古典が多いという話も事前の打ち合わせではされていたかと思うのですが。

乙二:そうですね。以前はあまり古典を読まない派だったのですが、年齢を重ねていくうちに古典を読み始めたというのが正しい経緯ですかね。

上田:バリュースピーチで引用されていたのは、『戦略の要諦』というビジネス本や、中国の『貞観政要』でしたよね。『貞観政要』はすごい分量の本ですよね。分厚い書籍で、2,300円もするという。

乙二:文庫本なんですけれどね。

上田:すごいなあ。三国志的な古典を読むとかではなく、もう古典そのものですよね。約1,000年前の本ですし。

乙二:そうですね。これはもう座右の書として置いておきたいぐらいの大作です。

上田:乙二さんに本や読書については、啓祐さんもいろいろ突っ込んで聞いてみたいとおっしゃっていたと思うのですが。

啓祐:そうですね。僕はどちらかというと雑に読むタイプなので、これからは襟を正していきたいなと思っているのですが……乙二さんに聞いてみたかったのが、本を手に取る基準というか、どういった本を読んでみようと思うのかなというところ。どのように、どういう価値基準で読む本を選んでいるのでしょう?

乙二:いや〜難しいですね。20代〜30代の頃は、書店に入って、売れている本やベストセラーを買っていました。ただ、いろいろ読んでいくと、どの本でも言っていることが似通っていて。それらの原点みたいなものを知りたくなったのが30代後半くらいの頃でした。

その当時に読んだのは、ショーペンハウアーの『読書について』という小さな本。その本には「無闇に知識を漁ったり、大量にかき集めることで、自分で考えたことではない知識の集積を持っているのはよくないぞ」と書いてあったんですよ。多読は簡単だ、みたいな。それを読んで以降、本の読み方に疑問を抱くようにはなりました。

上田:へ〜。たくさんの本を読むよりも、もっと絞り込んで読みなさい、というメッセージが書かれていたんですか?

乙二:そうですね。知恵をつける一番のコツは、知恵のある本を読まずに過ごすことだと書いてあって。当時の自分には衝撃的というか、結構響いたんです。どうやら読みすぎはよくないのだなと。結局、本の役割は他人の思考を知ることなので、自分の考えたことではない。以降、読み方をちょっと変えるようになりました。

上田:なるほど。ますます、どの本を読むのかが難しくなりそうですね。

乙二:そうですね。『読書について』では、どういう本を読むべきなのかも書いてあって、そこでは、古代ギリシャローマの本がおすすめされていました。古典を絶賛していたんですよね。

上田:なるほど。読書スタイルに古典を入れはじめたのはそれがきっかけなんですね。ギリシャ時代の本っていうと、どういう作品なのでしょうか。

啓祐:僕のイメージだと『オデュッセイア』とかになっちゃうんですけれど。

乙二:哲学者の作品であれば、そうですね。そういう歴史の風雪に耐えてきたという本であればどれを読んでも問題ない。読みすぎるということもないと。

啓祐:なるほど。さっき話題に出た『読書について』という本、これも結構昔のものですよね。僕は恥ずかしながら読んだことがないので、ちょっと読もうかなと思って調べたら、初版が1850年代で。150年以上前のものなんですよね。150年以上前から、もう古典を読むことが言われていると。そう考えると、『読書について』も古典の域に入っているような気もします(笑。)

乙二:たしかに。まあ、その当時、次に読みたい本が減ってきていて、次に何を読むべきかというところで、岩波文庫を探していたときに見つけたんです。


「古典って、なにから読んだらいいんですか?」

啓祐:僕、全然古典を触ってきていないんですよ。『オデュッセイア』とかいっても、もちろん読んだことはなくて、表面上の知識しかないような状態なんです。そういう、僕みたいに古典を読んだことがない、あるいは、ハードルが高いと思っている人はなにから読んだらいいのでしょうか。興味のあるものから読むのがいいんですかね?

乙二:まずはそうですね。一番自分の興味が惹かれるテーマ、作品を読むのがいいかと思っています。なかなか難しいですけれど……。ちなみに、一番僕がおすすめしたいのは、『貞観政要』です。リーダーを生み出す、という意味でおすすめしたいと思っています。

上田:ほ〜『貞観政要』。どのへんがおすすめなのでしょう?

乙二:カケハシのバリューと結構すごい親和性があるというか、同じ目線で言っているようなところがあるんですよ。これはすごく面白いですよ。そもそもなんのために書かれた本なのかというと、当時の皇帝が、リーダーが後を継いで繁栄させるためにリーダーとしてどう振る舞うべきかというような教訓を残しているという内容でして。

上田:いわゆるリーダー論のような本なんですね。どのあたりにバリューとの関連性は感じられたのでしょう?

乙二:たとえば、カケハシには「無知の知」というバリューがありますけど、皇帝も「無知の知」を発揮しないと、いずれ暴君になって国が滅んでしまう、みたいな。そういう話が本当にずっと書かれていたりするんですよね。

上田:なるほど。かつてのリーダー論から学ぶ、今のビジネスパーソンのあり方としての教科書というか、そんな読み方もできるんですね。

乙二:徳川家康だったり北条政子とか明治天皇も、実は読んできた本だったりしますし。

上田:すごい、あらゆる人の座右の書になっているのですね。

乙二:そうですね。当時の言葉遣いや時代背景もあるので難しい部分もありますが、上司と部下の関係、とかわかりやすい話に置き換えてもらうと読みやすいと思います。

上田:最新のトレンドはあるのでしょうが、書いてあることは昔からあまり変わっていないというか、そういうところも結構ありそうですよね。

乙二:結局、人間は昔から変わらないので、ベストプラクティスとしては通じるものがあるのかもしれません。

啓祐:僕、中国史がすごく好きなんですけれど、時代背景と照らし合わせて考えると『貞観政要』は唐の太宗皇帝の問答集みたいなものなのかもしれないですね。太宗皇帝は唐の二代目の皇帝で、比較的平和な時代をつくっていた。皇帝が崩御した後はまた荒れていくんですけれど、その平和な時代を作るための考え方みたいなものが残っているのかな。

読んでいないので、すごい薄っぺらい話をしていますが、気になるなあ。ぜひ読みたいですね。とはいえ、調べているなかで分厚い本だとは知ったので、ちょっとひるんでいます(笑)。

上田:でもこれを読むための本、というのも結構出ていますよね。解説書というか。

乙二:はい。いきなりこれにチャレンジするのではなく、解説書から入っていただいたほうがいいかと思います。たとえば、出口治明さん(ライフネット生命創業者、立命館アジア太平洋大学 元学長)の本がすごくわかりやすいです。『座右の書『貞観政要』 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」』という本なんですが、出口さんがビジネスに置き換えて、わかりやすく解説されていらっしゃいます。

啓祐:お、272ページ。読めそう。

乙二:ざっと見ていただければ、僕がバリューとの関連性を見出しているのをわかっていただけるような気がします。

上田:いいですね。原典はちょっとまだハードルが高いですが、まずはこういうところから手にとってみたいな。


経営者の「座右の書」に選んだ、ある“名著”を語る

上田:古典に限らず、カケハシのメンバーにおすすめしたい本ってほかにもありますか?

乙二:いろいろありますね。今ちょうど読んでいるのが稲盛和夫さんが書かれたベストセラーの『生き方』。これは老若男女におすすめしたいですね。なんのために仕事をしているのかを考えられる書籍です。2004年初版なので15年〜20年ぐらい前の本ですが、「高潔」というバリューはどうあるべきかという話が、稲盛さんの言葉で訴えられているような内容です。

上田:手にとったきっかけはなんだったんですか?

乙二:バリュースピーチで話すためにいろいろとバリューの原点となる本を漁っていたんですが、そのときに出会いました。稲盛さんも「高潔」につながるような話をされていると知り、それで読んでみることにしたんです。

上田:なるほど、いろいろな経営者の方が尊敬する人として稲盛さんの名前を挙げていたりしますもんね。カケハシの意思と通じる点もあると。啓祐さん、読んだことあります?

啓祐:当然ないです(笑)。

上田:いや、そうですよね。なかなか手に取らないなあ。

啓祐:本屋さんに行ってもそういった本のコーナーになかなか足が向かなくて。ただ、こうやっておすすめしてもらえると気になってくるし、実際「読んでみなよ」と言ってもらえると読めたりするんですよね。だから、こういうサジェストはありがたいですよね。あとは、本屋さんのポップとか。

上田:リレースピーチのときにも話してくださいましたが、乙二さんはバリューについてコミュニケーションを取ったり情報共有したりするためのSlackチャンネルを作ってくださったじゃないですか。あのチャンネルで、こういう書籍の共有なんかができてもいいのかもしれないですね。

乙二:そうですね。そういう使い方はいいと思います。バリューを考えるきっかけになった本なら僕からも投稿したいですし、みなさんからもどんどん共有いただけるとうれしいです。

上田:そうですね。バリューについてバリューで語るというのは結構難しいというか、堂々巡りになってしまうことも結構あると思っていて。その点、たとえば書籍であるとか、異なる文脈で話されていることとの共通点を見出すことで、より理解が深まったり、輪郭が見えることもあると思うんです。なので、そうしたきっかけが投稿されていくって、すごく価値のあることだなと感じました。

乙二:ありがとうございます。積極的に共有していきたいですね。

上田:ぜひぜひ。ということで、今回は乙二さんのおすすめの書籍を教えていただきました。またぜひいろいろな本の話ができたらと思いますので、引き続きよろしくお願いします。今回のカケハシラジオゲストは乙二さんでした。乙二さん、ありがとうございました。

啓祐:ありがとうございました!

乙二:ありがとうございました。

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