カケハシ初!育児休暇を取得した新米パパ奮闘記
2022年4月1日より改正育児・介護休業法が、段階的に施行されることになりました。
法改正の大きな目的は、男性の育休取得を促すため。もともと取得自体は可能であったものの利用率があまりにも低かったため、段階的に見直しをかけていくことになっています。
世の中に先駆けて、カケハシではカスタマーマーケティングチームのある男性メンバーが、3ヶ月間の育児休暇を取得しました(男性の育児休暇取得は社内初)。世間には育休取得を不安視する男性からの声も少なからずある中で、彼は3ヶ月間を振り返り「家庭においても仕事においてもメリットしかなかった」と語ります。
彼は、初めての育児に奮闘した3ヶ月間で何を学んだのでしょうか。
里帰り出産をしづらい世の中だから
— もともと育休取得する予定だったと聞きました。
そうですね。コロナ禍なので、里帰り出産はせずに夫婦で育てていこうと決めていました。
具体的な期間は決めていなかったのですが、出産予定日の2ヶ月ぐらい前にマネージャーに相談したところ、「まずは育児休暇を経験しているメンバーから情報を集めた方がいいよ」とアドバイスがありまして。社内外含めて30名ぐらいにヒアリングし、出産からの数ヶ月間で起きうることなどをなるべくリアルに把握したうえで3ヶ月に決めました。具体的に引き継ぎを始めたのは、育休取得の1ヶ月前ぐらいからですね。
— 一応聞きますが、育休取得にあたって社内からネガティブな反応は?
全くなかったです。みんな「おめでとう」と祝ってくれましたし、何より出産や育児について相談したり情報交換できたりする先輩パパママメンバーがたくさんいることが心強かったです。
— 引き継ぎで意識したことは?
とにかく、私がいなくても問題なくパフォーマンスを発揮できる体制をつくることに注力しました。
育休を取得するにあたって、会社からは「パソコンやスマートフォンなどは全て返却し、育児に集中してください」というありがたくもドキドキするお達しがあったので、現場で何か困ったことがあっても私は答えることができません。
ちょうど組織変更のタイミングだったので、新しいチームに必要な顧客のリストづくりや仕組みづくりなどはもちろん、新しいツールの取扱説明書や手順書なども社内全員で共有して情報を閲覧できるesaというツールにひたすら書き込んで。
私、リストづくりが好きなのですが、好きすぎるあまり細かく作り込みすぎて「私しかわからないリスト」になってしまうことがあるので、誰が見ても使えるようなわかりやすさは特に心がけたところです。手順書などで少しでも疑問に思う可能性がある箇所はちゃんとフォローコメントを書き込みました。
— 上司とはどういったやり取りを?
幸いなことに、上司からは「引き継ぎにリソースを割いてもらってかまわない」と言われていたので、引き継ぎリストをつくって全部可視化して共有していました。マネージャーもタイムリーに引き継ぎの進捗率を把握できるので、少しは安心してくれたのではないでしょうか。
とにかく妻の支えになるために
— そしていよいよ育休生活が始まりました。
妻が一番大変だったことは間違いないのですが、私も想像以上でした(笑)。
特に辛かったのは、子どもが全然寝ないこと。「部屋を真っ暗にしていたら寝る」という話は聞いていたのですが、実際にやってみても暗闇の中で目を見開いているし、私が抱っこしてもずっと暴れているので。自分の無力さを痛感しましたね。
しかも、うちの子どもは4,378gで産まれたビッグベビー。抱っこしているだけでも体力が奪われていって。最初は「仕事のことを考えなくていいのだからストレスを感じないだろう」と思っていたのですが、大きな勘違いでしたね。最初の1ヶ月は疲労と睡眠不足で、どんどんと追い詰められていきました。
そんなときに支えてくれたのは、カケハシのメンバーです。育休に入る前にSlackに出産報告をしたところ「待っているね」とスタンプしてくれたのがすごく嬉しくて。育休中も相談に乗ってもらいましたし、「父親も気分転換が必要だから」や「自分の時間も大切にしてね」とLINEでコーヒー券をもらったこともありました。メンバーとのコミュニケーションがあったから、ストレスも溜め込まずに済んだように思います。
— 父親として意識したことは?
とにかく妻の支えになることです。妻は子どものことで頭がいっぱいだから、他のことを考える余裕がありません。料理以外の家事は全部やって、「次何やるの?」などは一切言わずに全部先回りしてやるようにしました。子どもの好感度は捨てて、妻に全集中です(笑)。
生後1ヶ月の親の実際のスケジュール
独自に実践したのが、リストを活用したスケジュール管理です。と言っても、そんなたいそうなものではなく、「何時から何時までは昼寝」「何時から何時までは散歩」ということを綴った記録です。毎日目まぐるしすぎて前日の記憶がないような状況だったので、記録に残しておけば「やば、全然寝てないじゃんww」と笑い話にできるかもしれないと思って。
生後3か月の子供の理想スケジュール
不思議なもので継続していると、少しずつ結果が出てくるんですよね。「この時間はお昼寝の時間だね」と妻と目標を共有できるので、チーム意識のようなものが芽生え、夫婦仲も円満のままでいられました。毎日寝不足だったので辛くはありましたが、一度も夫婦喧嘩せずに乗り越えられたので、仕事で培った能力が育児に役立ったような気がして嬉しかったです。
「ぴよログ」を活用し、
ミルクや睡眠のタイミングや総量などを把握している
— 子どもがいると計画通りに物事が進まないことがよくありますが。
私が組んでいるスケジュールは、あくまでも日々の育児における土台に過ぎません。会社だってそうじゃないですか。事業計画書通りにビジネスがグロースしていくとは限らない。おおよそのガイドラインにはするものの、厳守を求めたら負荷になってしまうので。もし計画通りにできなかったとしても、調整すればいいだけの話ですから。
実は今「子どもの年齢ごとに連れていきたいスポットリスト」をつくっているのですが、あくまでも親の一方的な気持ちに過ぎないわけです。子どもが「お家で遊びたい」と思っていたら、その気持ちを最優先すればいい。「守るべきリスト」ではなく「やりたいことリスト」ぐらいの感覚で管理していた方が、心の平穏は保たれると思います。
男性は育休を取得するべき
— いずれにしても育休を取得した3ヶ月間は、家族にとって意味のある期間だったと。
そうですね。大変なことはたくさんありましたが、私が育休を取得せずに妻ひとりに任せきりになっていたら、肉体的にも精神的にも参ってしまっていた可能性は高いと思います。出産のダメージが体に残りながらも「子どもをしっかり育てなきゃ」と責任感とも向き合わなくてはいけないので、知らず知らずのうちに無理をしてしまうことは多そうですし。
— 育休を取得してよかったことは?
大きく分けて3つあります。
1つ目は、妻を支えられたこと。ママ友達から「大変だったね」と声をかけられても、「全然大丈夫だったよ」とあっけらかんと答えている場面を見ると、少しは彼女の支えになれたような気がして嬉しく思います。
2つ目は、いい意味で手の抜き方を覚えたこと。結構完璧主義者なところはあったのですが、思い通りにならないことをたくさん経験したおかげで、ある程度柔軟性ができたような気がします。バッファを持たせられるようになったというか。
3つ目は、人とのつながりを感じられたこと。私たちは2人だけで子どもを育てていこうと思っていたのですが、育休取得以前から社内外問わずいろいろな方からお祝いのプレゼントをいただいて。なかなか顔を合わせられないご時世だからこそ、人とのつながりを強く感じられました。正直、自分はこれまではあまり人と積極的に関わる方ではなかったのですが、多くの方に支えられて生きていることに気付かされたような気がします。
— 復職に際し、不安は?
マネージャーが配慮してくれて、過去に担当していた業務のチームへの配属となったおかげで、仕事内容や周囲のメンバーに対しては全く不安を感じることはありませんでしたね。
ただ、組織の成長スピードがものすごく早く、キャッチアップしなければいけない情報も膨大。うかうかしていたら、置いていかれる可能性もあるのですが、まだまだキャッチしきれていなくて……。しかも、自宅で働いていると近くで子どもが常に泣いているような状態なので、集中力も途切れがちになってしまい、以前のように取り組めず、焦ることもあります。
— 逆に育休を取得したことで仕事へのプラスの効果は?
一番感じていることは、「人の気持ちをより理解できるようになったこと」でしょうか。特に子どもがいるメンバーとのコミュニケーションやケアについては、深く考えるようになりました。
— 育休期間を終えて、育児への関わり方に変化は?
仕事のピークタイムなどは集中モードですが、朝昼晩でそれぞれ育児の時間を設けて、お風呂に入れたり、ミルクをあげたりしています。さすがに育休期間と同じようには関われていませんが、要所要所はきちんと取り組んでいるつもりです。
— 育休取得を検討している人たちにメッセージを。
取得できるのであれば、絶対に取得した方がいいです。それも1週間とかではなく、できれば1ヶ月以上。いや、1ヶ月でも足りないかもしれません。
ブランクができることでキャリアに不安を覚える人もいるかもしれませんが、生まれたばかりの子どもの育児は何事にも代え難いことです。3ヶ月で失われるようなキャリアであればその程度のものですし、なんなら育休から学ぶことの方が多いとすら思います。
最終的には「覚悟」の話になってしまうのかもしれませんが、育休を取得するからこそ見える世界は必ずあると思います。もし迷っている人がいたら絶対に取得してほしいですし、個人的にも今後男性の育休取得を推進するような活動にもチャレンジしてみたいですね。