人間関係構築力でオリジナルキャリアを切り拓く〜エンジニア・上田莉央〜|月イチ!カケハシさん
こんにちは、カケハシ公式note編集部の鈴木です。
2016年の創業以来、事業をつくる仲間を増やしてきたカケハシ。気がついてみると社員数は300名を超えており、プロダクト数もチーム数も昔とは比べ物にならないほどに拡大しました。
そこでカケハシでは、社内Podcastとして「カケハシラジオ」を公開。ブランディングチームの上田恭平さん、鈴木啓祐さんの二名をラジオパーソナリティとして、日々さまざまな配信を行っています。
そのなかでのメインコンテンツの一つが、一人のメンバーをゲストに迎えてお送りする「月イチ!カケハシさん」。カケハシとの出会いや仕事を進めるうえで大切にしているスタンスなど、メンバーの人柄を紐解く時間をつくっています。
さて、そんなわけで、これまでは社内だけで公開していたカケハシラジオですが、せっかくなので「月イチ!カケハシさん」をnoteでもおすそわけする運びとなりました。今月もカケハシラジオの世界を覗き見していきましょう。今日はどんな話が飛び出すのでしょうか、それではさっそくどうぞ!
上田恭平(以下、恭平):カケハシのみなさん、こんにちは。今回もはじまりました「カケハシラジオ」のお時間です。このラジオは、もっと気軽に“ながら”で浴びる、声の社内報。「情報対称性No.1企業」を目標に、カケハシのあれこれについてより深く知ることのできる機会を日常的に増やしていくための社内ラジオです。
今回は、前回の全体会議で地下アイドルを題材に、バリューについてのトークを繰り広げてくださったエンジニアの上田莉央さんに来ていただきました。莉央さん、よろしくお願いします!
上田莉央(以下、莉央):お願いします〜!
鈴木啓祐(以下、啓祐):よろしくお願いします!
恭平:このときのリレースピーチ、めちゃくちゃ反響が大きかったですよね。社内Slackもすごく盛り上がっていましたし。
莉央:いやあ、ありがたいですね。なんとか爪痕を残そうと思ってがんばって話したので、喜んでもらえてよかったです。
恭平:爪痕を残すどころか、ガッツリとエグるような話だったと思いますよ。しかも、ただ話がおもしろいだけではなく、ちゃんとバリューの本質を伝えてくれるような話でもあったなと思っていて。
ただ、それ以上にみんなを驚かせたのは、たぶん莉央さんのキャリアについてだと思うんですよね。というのも、莉央さんのキャリアをご紹介すると、高校卒業後に有名なベーシストの方に師事してプロのベーシストになられたと。
ライブやレコーディングにミュージシャンとして参加されていましたが、いろいろあって、ご友人とワインの輸入会社を起業。その後、またいろいろあって未経験からITの世界に飛び込みエンジニアに。二社ほど経験して、2021年からカケハシで働かれている、とのことですが。
この「いろいろあって」の部分が、あまりにすっ飛ばされているような気がしているんですよね。どういう歴史があって今に至るのかは、とっても気になるポイントだなと思っています。
莉央:リレースピーチでも全部すっ飛ばしちゃいましたからね(笑)。
恭平:なので、今日はリレースピーチでは深掘りできなかったキャリアの話や、どんな価値観を育んできたのか。そういったことを紐解いていきたいなと思っています。よろしくお願いします。
莉央:はい! よろしくお願いします!
武器は走り出してから拾っていく
恭平:ベーシストだったんですね。
莉央:そうです、そうです。ずっとベースを弾いていました。
恭平:いつ頃から音楽の道にいこうって思っていたんですか?
莉央:小さい頃から音楽自体は好きだったんですよね。子どものときからバイオリンを習ったりしていて。でも、実際にバンドをやりたいとか思い始めたのは、中学生くらいのときでした。尾崎豊とかTHE BLUE HEARTSとかが好きだったんですよね。その後、高校に入ってベースを始めました。
啓祐:ええ!? 尾崎豊もTHE BLUE HEARTSも世代じゃないですよね?
莉央:うん、そうなんですけれどね。昔はヤンキー漫画とかでTHE BLUE HEARTSの曲が登場したりするので、知る機会は結構あったんです。中学生ながらにかっこいいなあと思っていました。
啓祐:ああ〜週刊少年マガジン系の作品だと、そんなのもありましたね〜。
莉央:出身が結構田舎だったので、そういうヤンキー漫画に憧れるところから始まって、そこからロックバンドに憧れるっていう。よくある流れなんですけれどね。
恭平:でも、高校からベースを始めてプロになるってすごいことですよね。どういうふうに、ミュージシャンとしての道は拓けていったんですか?
莉央:いや、なんか昔の自分って本当にクソガキだったなと今なら思うんですけれど(笑)。私、中学生くらいまでは、びっくりするくらいの優等生だったんです。勉強もよくできたほうだし、生徒会にも入っていて。高校もそこそこ良いところに進学できましたし。
だから、やればなんだってできるじゃんって、自分のことをすごく過信していたんですよね。その頃に始めたのがベースだったんですけれど、音楽って練習した分だけうまくなるわけじゃないものなので、結構思うようにいかないことが多くて。それで、これはおもしろいぞと、のめり込んでいったんです。
そんなおかげで、高校入学時は上から10番目くらいだった成績が、下から10番目まで転落するという、奇跡の逆200人抜きを達成しまして(笑)。高校こそなんとか卒業はしましたけれど、その後は、進学せずに音楽スタジオでアルバイトを始めたんです。そこでお客さんとして来ていた方が、のちに師匠になる方でした。
「私、本気でバンドで食べていきたいんです」「弟子にしてください」みたいなことを言い続けて、ベーシストの方に師事したのが、キャリアのスタートというべき点ですかね。
恭平:へえ〜そのときはバンドをやっていたんですね。
莉央:あ、そうなんです。スタジオミュージシャンというよりは、バンドで売れるんだってことを考えていました。夜にライブして、朝帰ってきて、昼まで寝ているみたいな生活でした。
社内でもご存知の方が多いかもしれませんが、当時はTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTやBLANKEY JET CITYみたいな男くさいバンドが好きだったので。
啓祐:やっぱり世代的にはちょっとズレていますよね。たぶん僕ら世代な気がする。それこそ僕は昔、ゴリゴリのミッシェルみたいなバンドやっていましたし。(洋服の)並木でスーツをつくって、それでステージ上がってっていう感じでしたね。ちなみに、僕はベースだったので、ウエノコウジポジションでしたが。
恭平:僕も憧れて、高校時代はよく聴いていましたね。
莉央:わたしも二十歳のお祝いで、家族に並木のスーツをお願いしましたよ。
恭平:やっぱりそうなるんだ(笑)。
莉央:そう。でね、わたしの好きな男くさいバンドの曲って、女性が演るとどことなくお洒落っぽさが出てしまうんです。なんか憧れているのとは違うな〜と思うようになって、そこからすごく悩む時期に差しかかるんですけれど。
けれど、その後、リレースピーチでも話したようなアイドルのバックバンドのお話をいただくことがあったりと、「女性ベーシストながらもある程度弾ける」ことでいただけるお仕事が増えてきたんですよね。
そういう経緯で「自分のやりたいこと」ではなく、「できること」を頑張る大切さを実感するようになりました。
恭平:その経験は、プロの仕事人として一皮むけるきっかけになっているんですかね。若手の頃、やりたいこととできることの差に悩む人って結構多いようなイメージがあるし、僕にもあったし。音楽活動を通して、大きな気づきを得たんですね。
啓祐:20代前半でその域に達するってすごいですよね。自分の20代前半のときなんて「フジロック出てやるぞ〜」とかしか考えていなかったと思う(笑)。
恭平:第三者視点で自分を俯瞰して見ているあたり、人生二周目感ありますよね〜。とはいえ、その後も壁にぶつかったり、思い悩んでもがく日々が続いていたんですかね?
莉央:そうですね。まあ、最終的にわたしは音楽を辞めるわけですけれど、その理由っていうのがどうしようもない葛藤みたいな点にありました。というのも、好きなことを仕事にしていると「もっとこうしたらいいのに!」っていう気持ちと、えらい人の「こうしたい!」がぶつかる瞬間があるんですよね。そのズレを受け入れられないことが結構ありまして。
音楽をやっていることはもちろん、もう聴くことすら嫌になっちゃうなあと思い始めて……。これ以上続けたら本当に音楽が嫌いになるなと感じたので、仕事として音楽をやることを辞めようと決めました。
まあ、今考えれば、えらい人の期待を圧倒的に上回るようなパフォーマンスを出せていれば乗り越えられていたはずなので、単なる実力不足だったんですよね。当時はそれを認めたくなかったんだと思います。あのとき努力していれば、なにか変わっていたのかもしれません。
恭平:なるほどなあ。でも、それに気づけたのも成長ですよね。すごく視野が広がる経験だったのかなと。
莉央:10年弱くらいかかりましたけれど、きれいに話をまとめられる程度には成長できているのかな。過去の自分を多少は温かく見つめることができますね。
恭平:自分自身のことをそうして整理できるってすごいことだと思います。しかも、音楽の道で頑張っていたのって数年とかじゃないじゃないですか。
莉央:そうですね。20代半ばまでやっていたので、7年間くらいかな。
恭平:それだけやっていて、辞めようって思うのも難しいことだと思うしなあ。こわさってなかったんですか?
莉央:う〜ん、それよりも「もういやだ!」っていう勢いのほうが勝っちゃったのかもしれないです。
恭平:昔から、決めたらすぐに行動するみたいな性格ではあるんですかね。音楽の道に進むときの決断も素早かったですし。
莉央:それはありますね。走り出してから武器を拾えばいいやって思っているので、一旦走り出しちゃうんですよ。
恭平:そういう性格はすごくスタートアップに向いている感じがしますね。曖昧耐性があるっていうのかな。
5人のエンジニア組織に未経験ながら突入
恭平:音楽の道を離れてからは、ビジネスのほうに方向転換されているわけですけれど、まずワインの輸入会社を立ち上げたんですよね。これは起業ってことで合っていますか?
莉央:そうですね。ただ、そこまでリスクを背負って起業したわけではないので、これを起業と呼ぶには頑張って会社をつくっているみなさまに申し訳ないという気持ちもありつつです。もともと音楽をやっていたときの知り合いに「ワインの会社をつくるから一緒にやらないか」と誘われたことがはじまりなんです。まるで奇跡のような話ですけれど(笑)。
恭平:莉央さんって、人間関係が豊かですよね。
莉央:音楽で初めて師匠に出会ったときもそうですし、お仕事をいただく機会とかもそうですし、この件もそうですけれど、とにかく人には恵まれて生きているんですよね。周りの人がいい人ばっかりなんです。やりたいことを考えていると、そうやって声をかけてくれる人が必ず周囲にいるから、「あ〜いっぱいお酒飲んで友だちつくっておいてよかった!」と思っています(笑)。
恭平:(笑)。会社を立ち上げてからは経営者としての道もあったかと思うんですけれど、そういう選択はされなかったんですね。
莉央:今思えば、事業を大きく育てる面白さを探求できたのかもしれないんですけれど、当時は輸入して売るっていうサイクルがつくれた途端に楽しみを失っちゃったんです。もう次になにをやろうか考えている自分がいて。それで、夢中になれるものを探すようになって出会ったのが、エンジニアの仕事でした。
10代の頃からバンドをやっているのでホームページをつくる機会は結構あって。パソコンを触るのは比較的得意なほうだったんですよ。と、そんなことを考えていたら、久しぶりに会った音楽時代の先輩が、いつの間にかベンチャー企業のCTOになっていて。「パソコン得意ならうち来る?」って誘ってもらったので、驚きつつ、転職しました。
恭平:めちゃくちゃ軽い! でもそのノリ、なんかわかるなあ。
莉央:入社試験も一切なく入社しましたからね。ベンチャー企業に、しかも未経験で(笑)。
恭平:どんな会社だったんですか?
莉央:株式会社COMPASSっていう教育系のIT企業です。わたしが入ったときはエンジニアが5人もいないくらいで、全社の社員数も20名程度の小さな組織でした。エンジニアさんならわかると思うんですけれど「そんな組織に未経験者を入れてどうするんだ」っていう状態でしたよ。にも関わらず、当時のメンバーがとても優しい人ばかりで、本当にいろいろな人が助けてくれて。
恭平:それって、助けてもらってどうにかなるものなんですか? エンジニアリングの話なんて、ここまで一切出ていないじゃないですか(笑)。
莉央:まあとりあえず『JavaScript入門』とか買いますよね。
恭平:買うでしょうね、買うとは思うんですよ。
莉央:先輩に「どの本を買ったらいいですか?」って聞いたら、「最初はフルカラーで薄い本、平積みされているのを買いなさい」って言われたんです。それが一番簡単だから、と。分厚くてモノクロの本は、難しくて途中で挫折しちゃうよって。
啓祐:動物が表紙のやつだとね、ちょっと最初は大変ですよね。
恭平:そうそう、なんちゃらライリーのね。
莉央:本を買って、わからない言葉をメモして、調べて、みたいなことをひたすら繰り返していました。
恭平:でも、それだけでプログラミングができるようになるんですか?
莉央:いや、まあ、人生でベスト3に入るくらいには頑張ったししんどかったですよ。ミーティング中に出てくる言葉が全部わからないけれど、それをいちいち聞いていたらミーティングが止まっちゃうじゃないですか。だから全部メモして。「APIってなんだ?」となったら、それを家で調べるわけです。半年間くらいはその繰り返しでした。
だって、誘ってくれた先輩がいる以上、その人の顔に泥を塗るわけにはいかないじゃないですか。ただでさえ裏口入学で入っているので。だからもうとにかく必死でしたね。逆に言えば、逃げ道を塞がれた状態だったから、成長するしかなくて頑張れたのかなっていうのは思います。
恭平:ミーティングでメモだけしていてもエンジニアとしてのスキルは身につかないと思うんですが、そのあたりはどうやって?
莉央:最初は、Webサイトのちょっとしたデザイン変更の仕事とかが振られていたので、人が書いたコードをコピーして貼り付けては「あ、ここを消すとここが動かなくなるのか」「これは消したらだめらしい」みたいなのを実験するように知っていきました。
あれですね、購入した製品を取扱説明書なしで扱うタイプの人間だからこそ、なんとかなったのかもしれないです。
恭平:カリキュラムがあったわけではないけれど、だからこそ上手に成長することができたっていうイメージなんですかね。
莉央:そうですね。会社をつくっていたときとそのあたりは似ていると思います。「登記ってなんだろう?」から学んでいったタイプなので。人に聞いたり、調べたりしながらなんとか進んでいく力は、そういう昔の経験で身についたのかもしれません。
「この人が言うなら正しいんだ」ってなんのためらいもなく思える
恭平:そうなると、ますます気になるんですが、なんでカケハシに?
啓祐:僕、実は莉央さんとまったく同日の2021年12月1日入社なんですよ。当時って「Musubi AI在庫管理」がカタチになりはじめていたり、薬局向けのプロダクトがだんだんと出揃ってきたタイミングで。
今よりもずっと少ない開発メンバー数でしたが、僕らの入社タイミングを起点にどんどん人が増えていましたよね。僕はいろいろな人から誘われたっていうのがカケハシにきた理由なんですが、莉央さんはどうしてカケハシにいらっしゃったんですか?
莉央:そうですね。エンジニアのキャリア的には、最初にお話した教育系の会社の次に、コスメのECの会社に入ったんです。一社目はtoB、二社目はtoCなんですけれど、そこで感じたのが、システムの良し悪しがより結果に表れるのはtoBだということでした。
というのも、ユーザーがコスメをどのサービスで購入するのかを検討するとき、決め手にするのはサービスの使い勝手ではなく「安く買える(=お得)かどうか」なんですよ。あくまで商品はコスメなので、システム自体の良し悪しがあんまり実感できる世界じゃなかった。
けれど、一社目のときは教育系ということもあって、親御さんが子どものためにいろいろなサービスを比較検討している様子が伺えました。サービス自体が悪いと、子どもに与えるべきものではないと判断されてしまう。反対に、子どものためになるサービスは、しっかりと使ってもらうことができます。
安定稼働を求められる環境はもちろん大切ですが、それよりも自分自身がつくったサービスをお客さんが良し悪しと判断してくれるほうが、わたしは楽しいなって思って。なので、ひとまずtoBに戻りたいという思いがありました。
そのうえで、教育系やヘルス系は良いものであればお金を惜しまずに使いたいって思ってもらえる分野だと考えていたんですよね。逆に、少しでもサービスに不安が生まれたら使われなくなる。そういう環境のなかで開発に携わりたいと思っていたので、カケハシを第一志望に転職活動をしていました。
恭平:うちのメンバーは「入るつもりがなかったけれど、話を聞いてみたら……」ってパターンでカケハシに興味を持つことが多いですが、莉央さんはカケハシに入りたいっていう気持ちで選考を受けられていたんですね。
莉央:そうですね。でも、「世のため人のため」とか「社会貢献」っていうよりは、「これが売れたら、目に見えて楽しそうだな」っていうモチベーションですよ(笑)。
恭平:いいじゃないですか、楽しいってなによりですよ。つくったものを喜んでもらえることにやりがいを感じられるって、ものづくりにおいてはすごく本質的な気がしますけどね。
莉央:いやでも、一次面接のあとは「絶対に落ちた!!!」って思って、涙で枕を濡らしていたんですよ……。
恭平:まじですか。なんで?
莉央:エンジニアさんのレベルが高すぎて。わたしなんか絶対に入れないって思ったんですよね。
恭平:ちなみに、一次面接は誰とお話したんですか?
莉央:種岡さんだったかな。「Pocket Musubi」の開発チームの人と話をしたんですけれど、あまりにレベルが高くて、「だめだついていけない……」って思いました。だから、エージェントさんから一次面接に受かったと連絡をもらったときは「冗談ですよね?」って返しました(笑)。そのくらい、本気度が高かったんです。
恭平:実際に入社してみてどうでしたか? めちゃくちゃ入りたいと思って入った会社の印象って、どう映るのかなあと。
莉央:最初はやっぱりついていけるだろうかっていう不安が大きかったです。でも、とにかくみんな優しかったんですよね。一緒に働く人のことを信用しているし、だからこそ自分の思ったことを発言し合おうっていう雰囲気もある。それが入社当初の驚きでした。
あとは、コミュニケーションがすごく快適。みんなが常に相手のことを考えながらコミュニケーションを取っているのを感じるんですよね。人間味のある雰囲気というか、そういう点が入社してよかったなと思えるポイントです。
チーム間でシステム連携をするときはもちろんですけれど、サポートデスク、CS、USなど他チームの方と連携するときも「こんなお問い合わせがあったよ」「ここの仕様ってどうなっていますか?」とか、いろいろと会話させてもらっていて。
恭平:そのときにも安心感がある?
莉央:ですね。これまでの経験で、わたしは「この人の言う通りにするのって正解なんだろうか」って考えることがあったんですけれど、その思考って本当は無駄だなと思っているんです。
けれど、カケハシにいると、みんなが自分の仕事に信念を持って妥協せずにより良くしようって思っているのが伝わるから、「この人の言う通りにするのって正解なんだろうか」だなんて思考がなくなるんです。疑う必要もない。
「この人がこれが必要だというなら、そうなんだろうな。じゃあ、自分にはなにができるだろう」みたいなかたちで思考を切り替えられるんですよね。カケハシのバリューでいうと「高潔」に仕事をしている人ばかりだから、自分も価値貢献するぞって思えます。
恭平:安心して背中を預けられる環境があるんですね。
莉央:そう、最初にそれを実感したのは「Pocket Musubi」のPdM・三宅さんと出会ったとき。すごく鮮明に覚えているんですけれど、彼はプロダクトが現場でどう使われているのか、ユーザーさんはなにに困っているのかっていうのを徹底的に掘り下げて理解しているんですよね。わたしは、今までそういった開発者に出会ったことがなくて、ただ単純にすごいなって感動しました。
恭平:たしかに、三宅さんってブレないですよね。
莉央:なんとなく必要とされていそうなものをつくるんじゃなくて、本当に現場ではなにが必要なんだろうかって思考して、それをプロダクトとして最速最短で落とし込んでいる。その姿勢を見ているときに、「この人を応援したい、全力でやるしかない」ってめちゃくちゃ感じました。
夢は「チームが社内で推されること」
恭平:ここからは莉央さんがこれから先やりたいことも少し聞いてみたいと思います。「Pocket Musubi」をはじめ、今は新しいプロダクトの開発にも関わられているとのことですが、この先の目標ってどういったものなんでしょう?
莉央:そうですね。今までの経歴を聞いていただいた通り、毎度突発的な衝動で生きてきたのであんまり長期的な目標は立てられないんですよね、常に目先のことを頑張っています。ただ、この間のリレースピーチでも話したように、とりあえずわたしが所属しているチームをカケハシのアイドルにしたいっていう思いを持って働いています。
「Pocket Musubi」の開発チームはネイティブアプリとLINEのほうでチームが分かれていて、わたしはLINEアプリのチームに所属しています。このチーム、実は結構フレッシュなチームで、カケハシの開発組織のなかでは平均年齢がだいぶ若いんです。
最近、我々のこのチームはメンバーの卒業や加入がありまして、結構至らないところもあるなあと思うんです。それでも、周りが応援したくなる、頑張っていることを理解してもらえる、そんなチームにしたいなという。人って、少し高めの目標に向かって頑張っている人を応援したくなる生き物じゃないですか。だから、そういう応援を受けられるチームでありたいですね。
そして、ただ応援されるだけじゃなくて、受け取った声をきちんと開発に活かして、良いプロダクトを生み出したい。そういう気持ちですかね。
恭平:たしかに、高い山に向かって登ろうとしている人を応援したくなる気持ちって、我々どこかにありますよね。他のチームもそうですけれど、お互いがどんな高みを目指しているのかってシェアできると、応援して、応援されて、楽しい関係性が築けそうだなって聞いていて思いました。
莉央:そうそう。「Pocket Musubiチーム推しだから!」とか言われたいなって(笑)。
恭平:開発的な観点におけるチームの目標ってどういったものなんですか?
莉央:これまではユーザー数を増やしていく、使ってもらえるものをつくることが大きな目標だったんですけれど、やっと最低限の機能が揃ってきた段階なんです。なので、これからはエンドユーザーさんに、より良い体験を届けることに集中するフェーズに差し掛かっています。
ユーザーさんがアプリのなかでどういう動きをしているのか、便利だと感じてもらうにはなにを改善したらいいのか。そういうことを考えつつ、良い体験をしてもらえる場所づくりをしていきたいですね。プロダクトとして、もう一歩上のステップにいきたい。そんなことを考えています。
人との付き合い方を教えてくれた“運命の一冊”をご紹介!
恭平:最後に、毎回恒例のテーマとして「下積み本」っていうのを教えていただきたいです。莉央さんが何度も読み返している、今でも思い出す本ってなにかありますか?
莉央:え〜申し訳ないんですけれど、わたしまじで本を読まないんですよね。ただ、漫画はめちゃくちゃ読むので、人生の大半で読んでいるマイナーな漫画をご紹介してもいいですか?
わたしが小学生くらいの頃に連載スタートして、最近終了した作品で、『破天荒遊戯』っていう漫画なんですけれど。
啓祐:うわ、めちゃくちゃ渋いチョイスですね。
莉央:啓祐さん、ご存知なんですか!? ちょっと震える……。
啓祐:ラストが衝撃の展開な漫画ですよね(笑)。
莉央:ですです。ざっくり説明すると、14〜15歳の女の子が、ある日、お父さんに「世界を見ておいで」と言われて突然旅に出される話です。その子が旅をしていくなかで、仲間ができたり、協力することを覚えたり、魔法を使ったり。戦いもあるようなファンタジー寄りの漫画ではあるんですけれど。
人と人との距離の取り方とか、人との接し方とか、そういったことを知りながら旅をしている様子が描かれていて、すごく応援したくなるし、自分自身にとっても学びになるし、みたいな作品なんです。自分の人生において、考え方の面で大きな影響を与えてくれているなあと思います。
恭平:今回のラジオは莉央さんの半生を振り返るような回でしたけれど、いろいろな方との出会いやつながりが人生を切り開いているんだなってことがすごく伝わりました。その根底にあるのは、こういった作品から得た学びなのかもしれませんね。莉央さんの人を惹きつける“なにか”のヒントは、こんな作品のなかにあるのかもなって思いました。
莉央:うん、すごく影響を受けましたね。ぜひいろいろな人に読んでほしいです。
啓祐:たしか全20巻くらいでしたよね?
莉央:そうですね、22〜23巻だったかな。結構長い間連載していましたけれど、こんな冊数しか出ていないってことに驚きますね。
恭平:いや〜おもしろい話をありがとうございました。今回、たくさん話していただきましたけれど、どうでしたか?
莉央:上田(恭平)さんが聞き上手だから、つい喋りすぎちゃいました。本当に楽しかったです。
恭平:それならよかったです! それでは、このへんでお別れということにしましょうか。莉央さん、今日はありがとうございました! みなさん、さようなら〜!
啓祐:さようなら〜!
莉央:ありがとうございました!