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医療系スタートアップで働く女性メンバーのホンネとあるある

Musubiなどを展開する医療系スタートアップ・カケハシにはさまざまな経歴のメンバーが集まっています。今回はスタートアップならではの成長性や、社会課題の解決というミッションに惹かれて入社した3人のメンバーが座談会をするというので、ちょっとだけ同席させてもらいました。

三者三様の「医療系スタートアップで働く」ということ

金田:こうやって話すのは初めてですよね。まず、自己紹介からしましょうか。

私はプラットフォーム開発チームのプロダクトマネージャー(PdM)です。カケハシが提供する「Musubi」「Musubi Insight」「Pocket Musubi」「AI在庫管理」の複数のプロダクトを横断し、顧客管理基盤、つまりプラットフォームを整えることが大きな役割です。

私たちが提供するプロダクトは、いずれも薬局向けのものです。それぞれのプロダクトに対する課題や改善要望も、並べてみると「実は原因が同じだった」ということがあります。それぞれのプロダクトにフォーカスするよりも、ひとつの基盤として扱った方が近道なことを見極め、横断した課題解決へと導いています。

という感じで、お二人もお願いします。

顧客管理基盤のプロダクトマネージャーを務める金田

田邉:私は「User Successチーム」というカスタマーサクセスの中でもオンボーディングの部分を担うチームのマネージャーです。ユーザーである薬剤師の方々にプロダクトを問題なくお使いいただくための、3ヶ月〜半年間の研修を担当しています。

私たちが担当するのはオンボーディングのみ。一般的にはカスタマーサクセスが担う役割なのかもしれませんが、カケハシではあえてオンボーディングに特化したチームを設けており、おかげでユーザーお一人お一人とのコミュニケーションに全力を注ぐことができます。複数店舗を展開されている薬局さまの場合も、それぞれの店舗でご活用いただけるようになるまで伴走しています。

User Successチームマネージャーの田邉

米田:私は「Enterprise Marketing Planningチーム」に所属しています。大規模チェーンの薬局さまに特化したチームで、Musubiをお使いになっているかどうかに関わらず、広く薬局の方々に向けたイベントやセミナー、展示会などの企画を担当しています。

たとえば、2022年9月時点での薬局業界の大きなトピックが、2023年に導入される電子処方箋です。今までは、紙で受け渡しされる処方箋の情報を薬局の調剤事務の方がシステムに入力するというフローだったものが、電子化によって患者さんのデータをそのままシステムにインプットできるようになります。「オンライン診療からオンライン服薬指導へ」という流れが生まれ、医療そのもののDXがさらに進んでいくと予想されます。

薬局業界に向けたイベントやセミナー、展示会などの企画を担当する米田

そこで「ラストワンマイルDAY」というイベントを企画しました。電子処方箋をリードする行政、処方薬配送のプロフェッショナル、ラストワンマイルサービスにいち早く取り組まれた薬局経営者の方々をお招きし、これからの薬局経営に役立つ行政動向、処方薬配送のサービス事例、薬局・ドラッグストアの経営者の取り組みなどをご紹介し、薬局経営の最新動向をインプットしていただける内容です。

電子処方箋が導入されることで、自宅やコンビニ、駅のロッカーなど薬局以外の場所で薬を受け取りたいというニーズはより強くなっていきますよね。同時に宅配便ロッカーやドローン、自動配送ロボットへの期待も大きくなっていく。

ただ、どのように使われるかイメージできない方がほとんどなので、メーカーやベンダーに実機を持ち込んでもらい展示会を実施。医療や薬局業界全体を見据え、今後の発展をバックアップしていくことを目的としています。

お二人のミッションや、やりがいも教えてください。

金田(PdM):そうですね。リリース初期のMusubiは個店や10店舗規模のお客さまが多かったのですが、近年は数百店舗規模のお客さまにご活用いただく機会も増えてきました。

店舗単位での管理体系から、エリア単位やグループ会社単位など、お客さまの組織構造に応じた柔軟な管理が可能な体系へとアップデートすることが直近のミッションです。

田邉(CS):特に私が担当している個店のお客さまの中には業界全体や自身の店舗に課題を強く感じていなかったり、ITにあまり慣れていらっしゃらない方もおられるので、「薬局も変わっていかなければいけないんですよ」と啓発する役割も担っていると自負しています。最初は導入に批判的だった方が、オンボーディングを経て「最初は抵抗があったけど導入してよかった」と卒業していく瞬間の喜びは何物にも代えがたいですね。

米田(企画):私のやりがいは道なき道を進み、頭の中で描いた企画どおりの光景をつくることです。

イベントや展示会の企画ではアサインメントが非常に大切です。話題性のあるテーマを見つけられても、「この人の話ならぜひ聞きたい」という方をお招きできなければ、興味を持っていただくことはできないので。

チームができたばかりの2021年春頃と比べると、最近は少しずつ実績も出てきて、官公庁や著名な企業の方などにも出演オファーを快諾していただけるようになってきました。薬局経営者の方々にとって本当に価値のあるイベントを追求できる環境になりつつあることが、今のモチベーションです。

なぜ私たちは、カケハシを選んだのか?

米田(企画):お二人はなぜカケハシへ?

金田(PdM):テクノロジーで社会課題を解決することに惹かれたからです。

教育系のコンテンツ編集、SaaSのプロダクトマネジメントとキャリアを歩んできて今後の人生を考えたときに、「Webサービスを通じて世の中の課題を解決したい」という自分の想いに気づき、教育系、医療系を中心に新たなチャレンジの場を探していました。

カケハシを志望するきっかけになったのは、CTOの海老原とのカジュアル面接です。彼が語るMusubiへの愛情、今後の展開を聞いて、とてもワクワクしたのを覚えています。そして純粋に「この人と一緒に働いてみたい」と思い、カケハシへの入社を決めました。

田邉(CS):私も「社会課題にアプローチする仕事に取り組みたい」という気持ちは非常に強かったです。

前職ではエンジニアとして入社したのですが、自社製品を立ち上げる際に「売る人がいないぞ」となり、「田邉さんならできそうだから」とセールスに指名されて。たったひとりのセールスとして全国を転々としつつ、市場調査もしつつ、アライアンス先も開拓しつつ、納品やアフターサポートもしつつ……みたいな生活を送ることになりました。

責任のある仕事でやりがいはありましたが、すごく孤独だし自分と同じ境遇の人と悩みを分かち合うことすらできない。一ヶ月の半分以上は家にいないような状態で家庭にもヒビが入りそうだったので、転職を決意。転職エージェントから「スタートアップに向いていると思う」と紹介されたのがカケハシでした。

「医療の問題に関心はあるけど、働くなら業界を問わないHorizontal SaaSの方が市場規模も大きいし、将来的な成長も大きいのでは……」と漠然と思っていたのですが、カケハシの一次面接がすごく盛り上がり、面接開始15分ぐらいに「ぜひ一緒に働きたい」と言われて(笑)。

私自身も前職は孤独感を味わうことが多かったので、Musubiというプロダクトに多くのメンバーがそれぞれの役割を果たしながら向き合う姿に「私の求めていた場所はここでは……?」とワクワクしたのを覚えています。Vertical SaaSであることも、チームの一員としてチャレンジングな環境で働きたい私にとっては後押しになりました。当初はセールス職を考えていたのですが、「カスタマーサクセスに向いているのでは?」という提案で今に至ります。

米田(企画):私はお二人とは少し違って、「これからグロースしていく組織に身を置きたい」という気持ちが強かったです。

金田(PdM):というと?

米田(企画):もともと人材紹介会社の営業、大規模コールセンターの営業、新規事業、事業開発とキャリアを歩んできていたのですが、規模が大きいゆえに意思決定に時間がかかるし、これからの飛躍的な成長は見込めません。意思決定スピードが速く、これからの成長が見込める環境を考えると、スタートアップという選択肢は必然でした。

カケハシを志望したのはSaaSに可能性を感じており、かつ自社プロダクトを保有していたこと。面接で「実はまだ組織が未整備で……」という話も聞いていたので、「これは面白そうだ」と嗅覚が反応しました(笑)。

金田(PdM):米田さんのキャラクターがよくわかる入社理由ですね(笑)。カケハシで働いているとよく聞かれる質問だと思いますが、医療という専門性が高い分野で働くことに不安はなかったですか?

米田(企画):私は……特になかったです(笑)。

金田(PdM):愚問でした(笑)。

田邉(CS):さすがすぎる。もちろん私もネガティブになることはなかったですが、「これから頑張らなきゃいけないな」とは思っていました。

金田(PdM):同じくです。ただ、やはりネガティブになることはなかったですね。「お客さまの課題を見つけて解決する」というステップは業界を問わないですし、これまでの経験を活かせる自信はありました。しかもカケハシには薬剤師資格保有者であるドメインエキスパートが多いですからね。入社後に知った部分ではありますが、サポートしてくれる彼らの存在はかなり大きいです。

改めて感じる、カケハシで働くおもしろさ

田邉(CS):実は3人とも入社時期が2020年の上半期なんですよね。2022年までのカケハシの成長を見てきて、感じる部分はありますか?

米田(企画):開発体制が強化され、プロダクトとしてのレベルは飛躍的に高まっているように感じます。ユーザーの期待値もどんどん上がってきているのですが、それに応えられる開発部隊がいるから、導入を意思決定してもらえている。「数年後にこの機能が実装される」ということを見越して導入されているケースもありますからね。可能性を感じて導入していただいているのは本当にありがたく、稀有な状況だと思います。

田邉さんのオンボーディングチームもそうですよね。初期のころはセールス担当がオンボーディングを兼務していて、それぞれが属人的に対応していましたが、今では適切な方法論が確立されてきている。たった数年でプロダクトの成長に伴って、お客さまへのサービスも格段に進化したと思います。

金田(PdM):自己紹介のときにも触れられていましたが、米田さんの仕事は会社やプロダクトの成長を肌で感じられるポジションですよね。

米田(企画):そうなんですよ。会社やプロダクトの成長に伴い、こちらの話に耳を傾けてくださる方は確実に増えました。イベントへの登壇をお願いする際も、以前は既存のつながりを辿っていくしかありませんでしたが、最近はこれまで接点のなかった方にもご提案できるようになりました。Musubiのシェアが広がり、「これだけの薬局のみなさんと一緒に、これからの薬局体験をつくっているんです」と提案できるようになったのは大きいです。逆に金田さんはどうですか?

金田(PdM):大きく分けて2つあります。1つは、2020年から変わらずにプロダクト開発チームが自律していること。一般的に、シード期だとトップダウンで開発方針が決まったり、逆に大きくなると組織化が進んで自由度が下がったりということがありますが、カケハシの場合、プロダクトにおける意思決定権が最大限チームに委ねられているので、それぞれが「自分たちはこうしたい」という気持ちを開発に反映していける。今も昔も自律してプロダクト開発に向き合えている点は、非常に素晴らしいポイントだと思います。

もう1つは、社内のコミュニケーションデザインに力を入れている点です。成長期、拡大期に入ってミッション・ビジョン・バリューへの意識が薄れていくことも少なくないと思うのですが、カケハシの場合、組織文化のデザインを専任しているメンバーもいて、高いレベルで意識し続けられています。会社もプロダクトも成長している中で気持ちよく働けている最大の要因だと感じています。

たとえば、毎月開催される「全社会議」の運営ひとつ見てもそうですよね。一般的に全社会議=面倒くさいと感じる人は少なくないと思うのですが、私はカケハシの全社会議を毎月楽しみにしています。カチッとした報告の時間と、ゆるっと社員が思いの丈を語ったり称えあったりする時間のバランスが絶妙。楽しみにしている人、結構多いと思いますよ。

田邉(CS):本当にそうですよね。「全社会議が楽しみ」はカケハシあるあるのひとつだと思います。カルチャーの部分は本当にその通りで、普段の会話でもバリューとして掲げている「情報対称性」「カタチにする」「価値貢献」といった言葉が飛び交っていて、ちゃんと浸透しているんですよね。

私が採用面接で一番重要視しているのがカルチャーマッチ。どれだけスキルを有していても「この人は他の人と一緒に働けるか」「バリューのひとつである『無知の知』があるか」などは大きなポイントです。

金田(PdM):先ほど米田さんから「以前はオンボーディングが属人的だったけど、最近は方法論が確立されてきている」という話がありましたが、そのあたりはどのように?

田邉(CS):結構苦労しましたよ(笑)。私の前任がマネージャーとしてハイパフォーマーで、チーム間の調整やフローの策定などを全部やってくれていたのですが、それではとても手が回らない。マネージャーだけでなくメンバー一人ひとりがオーナーシップを持ってカタチにしていけるようにする必要があると考えて、2021年ぐらいからスタートしたのが「プロジェクト制」という取り組みです。といってもそんなに大袈裟なものではなく、チームとして必要なタスクを「プロジェクト」という名称に変えて「自分がプロジェクトをやらないと他の人の仕事が進まない」という環境を無理矢理つくりました。

1年ほど取り組んで、「この部分を改善するには誰と話したらいいか?」というような会話が普段から発生する程度にはスケールアップできたかなと思います。

米田(企画):とても素敵な取り組みだと思います。1年間続ける中で工夫した点はありますか?

田邉(CS):ひたすら「いいね、いいね」とポジティブな姿勢で後押しするようにしていました。メンバーから見たら物足りない部分も多かったかと思いますが(笑)。もし方向性がズレそうだったら、「でも、こういう考え方もありそうだよね」と伝えて。あまり考えを押し付けるのではなく、自分で考えてやり遂げるプロセスを多く経験してもらえるように意識していました。自ずと当事者意識も芽生えますし、他の人から感謝されたら嬉しいですからね。

いいことばかりじゃない。でも、まだまだやりたい

田邉(CS):もっと話したいのですが、時間もなくなってきたので最後のテーマにしましょうか。今後、自分の仕事を通じて、会社をどのようにしていきたいですか? じゃあ、米田さん。

米田(企画):そうですね……やはり「まずやってみる」という姿勢が根づいた組織にしていくことですね。

今まさにカケハシは成長のフェーズにあって、やれることもやらなければいけないことも山ほどあります。やりたいことはほとんど実行に移せると思います。だから「これしかできない」みたいなことにはとらわれずにどんどんチャレンジしていきたい。業界だけではなく、業界の外、世の中全体に浸透させていけるような企画を考えて、カケハシをさらに成長させたいですね。

個人のチャレンジが結集すれば、会社の成長スピードはますます加速するはずです。組織一丸となってさらにチャレンジしていけるように、まず私がアクセルを踏み込みたいと思います。

金田(PdM):めちゃくちゃいいですね。とっても頼もしく感じます。

私もひと言でいうと「チャレンジの機会を増やすこと」かもしれません。カケハシの提供するプロダクトは増えましたが、まだまだ医療が抱える課題の全てを解決できるわけではありません。これからもプロダクトを増やして、どんどん解決へと導いていく必要があります。

私はプラットフォームチームに所属しているので、特定のプロダクトにフォーカスして改善していくよりも、それぞれのプロダクトがスピーディにより良い価値を提供するための柔軟性のある基盤をつくっていきたいと考えています。

少し手前の話をすると、社内外への情報発信も増やしていきたいですね。

先日チームで話をしたときに「プラットフォームチームを、エンジニアから憧れられるような組織にしたい」と話してくれたエンジニアがいました。確かにプラットフォームは仕事内容がわかりにくいし、プロダクトと紐づかないので売上との関連性も見えづらいため、モチベーションを維持しづらいところがあります。

でも、もちろん私たちの果たすべき役割は大きいし、私自身も愛情とプライドを持ってプラットフォームでの仕事に向き合っています。私たちの存在意義を社内外に発信することで、チームに憧れを抱いて仲間入りしてくれる人が増えれば、できることも増えていくはずなのです。社内外から「カケハシのプラットフォームチームっていいよね」と言われるようなチームに育てていきたいですね。

田邉さんはどうですか?

田邉(CS):お二人とは少し違った観点になるかもしれないのですが、「薬局というエンドユーザーの現場感が、よりビビッドに社内に伝わるように」したいですね。

組織は拡大を続けており、新しいプロダクトのリリースも続いている一方で、コロナ禍以降に入社したメンバーの中には現場に足を運ぶ機会がなかなか得られない人も少なくないと思います。

私たちオンボーディングチームはオンラインではあるものの、薬局の方々と常にコミュニケーションをとっています。たとえば社内短期留学のような、所属チームとは異なる仕事を体験できる制度を設ければ、エンジニアメンバーがオンボーディング業務を体験し、より深く現場感をつかむきっかけになるはず。オンボーディングでは、機能に対するニーズやユーザーがつまづくポイントがリアルに伝わってくるので。

正直、厳しいご意見をいただくこともあります。いいところもそうでないところも含めた現場目線を忘れないための仕組みづくりには力を注いでいきたいですね。

米田(企画):パートナーシップを築く難しさはありますが、だからこそカケハシのファンになっていただけたときの嬉しさは格別ですよね。というところで、そろそろお時間ですね。お二人と話せてよかったです。今日はありがとうございました。

金田・田邉:ありがとうございました!

3人の話が少しでも気になったら……

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