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医療体験の変革を目指す、カケハシPMMの視点

プロダクトマネジメントのなかでも主にビジネスサイドに軸足をおき、プロダクトの市場展開を推進するPMM(プロダクトマーケティングマネージャー)。カケハシでも各プロダクトごとに複数のPMMが在籍、チームとしての体制強化を進めています。

カケハシが、プロダクトを通じてどのような課題解決に挑んでいるのか。その中で、PMMが何を考え、どんな役割を担っているのか。

メインプロダクトの一つである、おくすり連絡帳アプリ「Pocket Musubi」のPMM 森田・三宅と、CEO中川に話を聞きました。

森田龍平 Ryohei Morita
大学卒業後、ITコンサルティング企業にて主に大手物流企業向け案件に従事。その後、SMS、DeNA等のベンチャー企業にてプロダクトオーナー、事業推進マネージャー、サービス責任者等を担当。2021年にカケハシ入社。Pocket Musubiのプロダクトマーケティングマネージャーとして事業開発を担当。

三宅史生 Fumio Miyake
大学卒業後、株式会社ビービットにてコンサルタントとして大手企業のUX改善を支援した後、SaaS事業に異動し営業・マーケティング・カスタマーサクセス・プロダクト企画などを経て、事業責任者に就任。2019年8月株式会社カケハシ入社。Musubiのプロダクトマネージャーとしてプロダクト企画/設計を担当した後、現在はPocket Musubiのプロダクトマーケティングマネージャーとしてプロダクト企画/設計及び事業推進を担当。

PMMの視点でみる、Pocket Musubiの現在地

森田:Pocket Musubiは薬局と患者さんをつなぐ「おくすり連絡帳」。患者さんに対する服薬期間中のフォローアップを、LINEを活用してサポートするシステムです。

2020年9月に改正薬剤師法並びに薬機法が施行され、服薬期間中のフォローアップが義務化されました。しかし、そのやり方に具体的な指示があるわけではなく、各薬局の裁量に委ねられていたこともあって、多くの薬局が手探り状態。薬剤師の方たちの「まず何をすればいいんだろう」という状態を解消するためにスタートしたのがPocket Musubiです。

Pocket Musubiをリリースしたのが2020年10月。以来、アップデートを重ねてきましたが、一貫して患者さんの体験にフォーカスしているのが大きな特徴の一つです。患者さんに最高の服薬体験を届けることが、Pocket Musubiの存在意義なんです。

仮説検証を繰り返し、時代とともに移り変わる薬局のあるべき姿を模索しながら、社会に実装していきたい。従来の当たり前を疑うことで、新たな価値の創出に挑みたいと考えています。

Pocket Musubiにかける想いを語り出すと止まらない、PMM森田

中川:「日本の医療体験を、しなやかに」というミッションに表現しているとおり、カケハシが見据えているのは新しい医療体験です。

たとえば、アプリを立ち上げたら医師や薬剤師が24時間いつでも対応してくれて、次の日には薬が自宅に届いているような、SFで描かれてきたような世界。健康のために食生活改善や運動したら医療費の控除につながるようなシステムもおもしろいかもしれませんね。

Pocket Musubiは、次の時代のスタンダートとなるような医療体験を提案していくためのファーストステップになるものだと考えています。

森田:ここにきて、ユーザー薬局さまから「これまで知らなかった患者さんの状況に気付けるようになった」という声をいただくことが増えてきましたよね。

Pocket Musubiのコア機能であるフォロー機能では、一週間に1回の頻度で、患者さんに「こんなことが起きていませんか?」と質問を投げかけます。それによって、患者さんが実際にお薬を使うなかでどんなことに困っているのか、リアルな状況を薬局・薬剤師の方々が把握できるようになるわけです。

目薬が処方されたある患者さんの事例をご紹介します。新たに処方された目薬を使い始めたところ全く反応が見られず、次の診察の際に量を増やして処方された患者さんがいらっしゃいました。

ところが、Pocket Musubiのフォローによって「本来はよく振って使用しなければいけないところを、全く振っていなかった」という事実が発覚。実際は量を増やす必要はなく、さらに「この目薬は振って使用するもの」という薬剤師にとっての当たり前が、患者さんには伝わっていないことがわかりました。

中川:Pocket Musubiを利用している薬剤師ユーザーさまとお話していると、「患者さんから感謝の言葉をいただく機会が増えた」とおっしゃる方が多いんです。Pocket Musubiの画面を開くたびに「いつもの薬にこんな注意点があるとは知らなかったので助かりました」「めまいがだいぶ楽になりました。ありがとうございます」といったコメントが並んでいて、気持ちも高まるそうです。

患者さんがより適正にお薬を使うことができるようになるだけでなく、薬剤師の方々が自身の仕事のやりがいや成果を実感できるようにもなる。薬剤師の皆さまのモチベーションを高める意味でも有効なツールだと思います。

森田:薬剤師の方々が患者さんの「ありがとう」に触れる機会って、実はそれほど多くないそうなんです……。ある薬剤師ユーザーさまが「Pocket Musubiに表示される患者さんからのコメントが癒しになる」とおっしゃっていたほどです。

Pocket Musubiの“育ての親”のひとり、PMM三宅(写真右)

医療変革の最前線で感じる、やり甲斐と責任

— Pocket Musubiの今後にはどんな可能性が?

三宅:大きなところで2つあると考えています。

ひとつは社会全体で大きな潮流となっているDXの文脈。その中で、Pocket Musubiが向き合っているのは、デジタルによる業務効率化というよりも、もっと本質的な課題解決です。

Pocket Musubiが実現したいのは、薬局が患者さんに提供するサービスの価値そのもののアップデート。患者さんがお薬を使っている普段の状況を、薬局のカウンター越しだけでなくリアルタイムに近いかたちで把握できるようにし、そのデータを薬剤師の方々が咀嚼・分析して患者さんの服薬体験の改善につなげていくサイクルを生み出すことです。「データを活用して体験を変えていく」というプロセスこそDXの本質だと思っています。

もうひとつは、医療業界ならではの文脈です。一般企業ではすでにスタートしている時間外労働の上限規制が、2024年4月から医師にも適用されるようになります。医療業界ではすでに「タスクシフト/シェア」として医師に偏在している業務の移管や多職種連携による分担が進められており、薬剤師が果たすべきは薬事全般。患者さんをフォローしながら、薬の効果や副作用の状況を把握し、場合によって医師に処方の見直しを提案することがより一層求められるようになります。薬局が患者さんと“点”で関わるところから、経過や変化などの“線”や“面”で関わる場所になっていくということ。

本来、薬剤師は薬物治療に関して医師以上の専門性を有しているので、職能を最大限に発揮すれば、期待されている役割は充分に担うことができるはず。そして、薬剤師が能力を最大限に発揮できる世界こそ、Pocket Musubiが目指す未来です。

森田:業界の流れとしても、Pocket Musubiにとっていい風が吹いていますよね。

2022年の調剤報酬改訂において服薬管理指導料が新設され、「患者の薬剤の使用の状況等を継続的かつ的確に把握するとともに、必要な指導等を実施すること」に対する評価が従来よりも高まりました。服薬期間中の患者フォローはもはや薬局経営という観点でも見過ごすことのできないものになっており、それがPocket Musubiへの新たな需要につながってきているのを実感しています。

また、Pocket Musubiを通じて取得できる患者データに対して、大学教授など研究畑の方から関心をお寄せいただくことも増えてきました。厚生労働省による研究事業の一つにPocket Musubiの患者データが活用されたこともありましたよね。

中川:中尾(カケハシ代表取締役社長)が厚生労働省のワーキンググループに招聘されるなど、私たちの意見が求められる機会も増えてきました。これからの医療のあり方を議論する場に、私たちの声が届きはじめていることに、喜びやワクワク、そして大きな責任を感じています。

喜びとワクワクと責任感が入り混じった中川の表情!

社会課題の解決に“本気”な人が集まってきている

— その中でPMMの役割とは?

森田:「PMMの仕事はコレ」と断定できるものはありません。Pocket Musubi自体まだまだ事業開発フェーズですから、PMMが担うべき役割はひと言では言い表せられないほど多岐にわたります。

ビジネスサイド全般に関わり、セールスやマーケティング、広報との連携、カスタマーサクセスのプログラム企画、新機能追加時は開発チームとやり取りしながらPocket Musubiのグロースをリードしているところです。

特に2022年は今までにない手応えを感じています。PMFを達成し、利用店舗数も順調に拡大。今後はこれまでとは桁違いのペースでの事業成長が見込まれています。

患者さんや薬剤師の方たちの体験が変わったという日々の現場フィードバックからは、この仕事の社会的意義を強く感じられますし、ビジネス的なスケールも体験できるので、PMMとして事業開発の醍醐味に触れるまたとない機会。毎日ワクワクしています。

— カケハシの、会社としての魅力は?

森田:開発力と志の高さが備わったエンジニアの存在は大きいですね。Pocket Musubiだけでなく、薬局の基幹システムである「Musubi」、「Musubi Insight」や「Musubi AI在庫管理」といった複数のサービスを展開しており、さまざまなスキルを持ったメンバーとさまざまなチャレンジができる環境です。

特に最近は薬局から「カケハシの開発スピードは早くて助かっている」「どんどん改善されるから安心できる」という声が寄せられることも多く、ユーザー薬局からも評価されるエンジニアの存在は、PMMとして非常に心強いです。

三宅:手前味噌ですが、開発体制には自信があります。最近ではPocket Musubiの開発チームにジョインしたアプリエンジニアが、早速ネイティブアプリのリリースを主導してくれましたよね。経験豊富なデータサイエンティストも集まってきています。

中川:その一人が、AI在庫管理開発チームの保坂彼が連れてきてくれる方や「保坂さんと働きたい」とアプローチしてくれる方が、技術書の著者だったり、プログラミングコンテストの優勝経験者だったり……。データサイエンスや機械学習周りは相当強化されたんじゃないかな。

三宅:MusubiやPocket Musubiに関しても薬局や患者さんのデータは拡大する一方ですし、「カケハシのデータを活用して開発したい」と興味を持ってくださっているエンジニアも少なくないそうです。

エンジニアに限らない話だと、カケハシの事業そのものに意義を感じているというのは全社の共通点ですね。ミッション・ビジョン・バリューへの共感が前提だからか、なんというか“いい人”が多いと思っていて。こうした環境が、また次の“いい人”を呼んでいるような気がしています。

中川:カケハシメンバーの多くが、お子さんが生まれたり、自分自身が病気を患ったり、家族の介護などを経験したりしたことで「自分も医療を本気で良くしたい」と思うようになったという方。みんな、「社会をより良くしていきたい」という気持ちが根本にあるんです。

真面目なんですよ。仕事のベクトルが「出世したい」「莫大な報酬を得たい」というような自分に向くものではなく、世の中に向いているような人が多いんです。だからこそ、社内競争に陥ることなく純粋に事業と向き合えるのだろうと感じています。

まだまだ通過点。挑戦者として前進し続ける

— 今後向き合うべき課題は?

森田:「日本の医療体験を、しなやかに」というミッションを体現するには、まだまだできていないことが多すぎます。Pocket Musubiに関しても、オンライン服薬指導の機能すらこれからですし、オンライン診療も含めた一気通貫の体験設計が必要ですし……やることは山積みです。

中川:既存サービスのさらなるバージョンアップも、新規サービスも、できること・やらねばならないことはいくらでもあると思っています。例えば、これまでカケハシはBtoCの領域には手を出していなかったのですが、薬局経由だけではなく、ダイレクトに体験を変えていくようなサービスも拡充していきたいですね。

三宅:最終的には、患者体験も医療従事者の業務体験も、今の延長線上にはない理想のあり方にアップデートしなければ。

森田:未知の領域だからこそ何が起きるかわかりませんが、足元と未来の両方を見ながら、ポジティブに考えていきたいですね。

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プロダクトのこと、話しませんか?

冒頭でお伝えしたとおり、私たちカケハシはPMMの体制強化を進めています。カケハシのプロダクトやビジョンに興味をお持ちになった方、PMMという仕事が気になった方、ぜひお話ししましょう!

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